2011年5月18日水曜日

以前読んだロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像 (ベスト新書) 五代 富文 (著), 中野 不二男 (著)が今後の原子力発電の研究、開発に参考になるかと思ったので。

 

東日本大震災によって福島第一原子力発電所で事故が起こり、今まで推進してきた政策の原子力発電の研究、開発、新設が大きく揺れている事について、この書籍が少しは役立つのではないかと思いました。

目次

第1章 「失敗とは何か」―失敗の本質を把握する

第2章 「失敗と技術」―技術とは何か

第3章 「開発とリスク」―現実を知る

第4章 「失敗と組織」―役所の構造

第5章 「失敗とチャレンジ」―成功神話

第6章 「失敗の教訓」―最大の壁・悪しき文化

震災当初の発電所から上がる爆発による煙の映像や、現在行われている原発事故の処理、また進行中の避難等などのことを考えると、原発など廃止してしまえばいいという考えに陥るのも理解できます。 また、それでも推進、あるいは研究、開発はこれまでと同様とはいかなくても継続するべきだという、上記と反対の意見を強く主張する方も多数いるように感じます。

ただ、どちらにも共通していると感じるのは、あまりに感情的になりすぎているのではないかということです。

反対はの方は今の現状を目の当たりにすれば感情的になってしまうのは仕方が無い事だと思います。また、推進はの方もその感情的な反対派の方にムキになって、たとえ理論的な反論意見であっても、平常時以上に理論を全面に押し出して反対派の方に対抗しているような印象を受けます。

なので、反対派、推進派の方の意見を参考にするのもいいですが、一旦原発から離れて科学技術とは何か、そしてその失敗は何を意味するかということを本書から学んで冷静になってから考えるのもいいかと思います。 私も本書を読み返す以前は、原発がなかったらよかったのにとか、あるいは理論的によく言われる交通事故他の発電方法の火力発電等より死者数で考えれば原発は安全だとかいうことを感情的に考えていたのが、本書を読む事で一旦原発から離れて技術とは何か、失敗とは何か、そして失敗から何を学ぶべきかという事が分かり、少し冷静になる事が出来きました。

まだ冷静になるには時間が必要かもしれませんが、原発、そしてエネルギー政策の今後を考える上で多くの方が本書を読んで冷静になってから、原発を推進していくのか、廃止していくのか、あるいは研究開発は続けて技術だけは温存していくのか等を議論していくのが望ましい方向性ではないかと思います。

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