2019年8月30日金曜日

読書環境

今日読んだ本、短篇小説講義 増補版 (岩波新書) (筒井 康隆(著)、岩波書店)の感想。

短篇集をそんなに読むことがないから、読むようになるいいきっかけになればいいかと思って本著を読んでみることに。ただ、講義とはどちからというと読む人ではなく書く人向けの講義という感じだった。目的とは違ったけどせっかくだから最後まで読み終えた。

最初に現状の短篇集事情について、そしてその事情について著者が思うこと、憂いていることといった感じ。そしてどうすればいいかを考えていくという流れ。

その後は色々な短篇集の短篇の内容の解釈や使われている技法を解説されていた。題材にされている短篇集や短篇はあまり有名ではないものが多いみたい。

注意点としては、最初に書く人向けの講義と書いたけど、実際にこう書けばいいという作法や答えが書かれているわけではないということ。あと、遡って答えがあるかどうか、無いのでは無いかということについても。ただ全く何もヒントが無いというわけではなく、いい短篇を書くにはどうすればいいか、どのような気持ちで臨めばいいかは著者の考えが記述されていて参考になったり。

よくあるような短篇、あるいは短い文章の書き方等の本で、その作法にこだわりすぎているという人に最適な一冊な印象。短篇の唯一の決まりごとは短いということだけということにハッとなった。短篇を書くことだけではなく、当然だけど忘れがちなこと、基本的なことをしっかり認識することは大切なことだなぁと再確認できた。

短篇集を読む側として、本著に出てくる短篇で面白そうだなぁと思うものがいくつかあったから、実際に読んでみたくなった。解説が面白いからで実際は面白くないのではないかという心配もあったりするものの。出てくるものは外国の作品だけど、日本語に翻訳されているもので、岩波文庫から出版されているものだということも有り難かった。実際に入手して読むことができそうだし。外国の作品と書いたけど、例外として著者の短篇集はもともと日本語の作品。ただし岩波文庫ではない。

ということで、短篇集を書く側ではないものの、短篇集の現状や書く側をみて短篇集、短篇て面白そうだなぁと思えたし、実際に本著に出てきた短篇を読んでみたいとも思ったから、短篇集を読む側としても十分満足できてよかった今日この頃。

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