2019年11月9日土曜日

読書環境

今日読んだ本、都市は文化でよみがえる (集英社新書) (大林 剛郎(著)、集英社)の感想。

心地よく読むことができる一冊だった。というのは、著者の文化に対する考え方、価値観に共感できたからかも。

共感できたのは、序章に

住んでいる人たちにとって魅力的な地域が生まれるかどうかは別問題です。
というところ。あくまで、まずはそこに住む人が中心という印象を最初にもつことができたから。

というのも、衰退する都市、特に地方都市などの話でよく聞いたり見かけたりする話は、文化で観光客を増やして活性化しようと言ったのが多い印象だから。本著は、その観光の大切さを理解しつつも、あくまでそれが中心、目的ではなくまずはその地域に住む人達にとっての文化という話だった。

なので、本著に出てきた蘇った都市の例は、それぞれ種類は違うものの、どこも観光で行ってみたいなぁという思ったのはもちろんだけど、実際に住んでみたい、あるいはただの観光ではなく長期滞在してみたいと思えるようなところだった。あるいは、自分自身の今住んでいる地域も形は違っても似たような考えな文化があったら、あるいは育っていくといいなぁと思うものだった。

文化、美術館等が特別で権威だったものの、あるいは観光客が沢山くることが第一目的ではなく、住む人にとって重要というのは、

「芸術は日々の一挙手一投足と同化したものでなければならない」
という言葉にも含まれて表されてるように感じたりした。

話が文化と関係ないかも知れないけど、飲食店と似ているようにも感じた。ドレスコードがあって、高級で美味しい料理の店があるのもいいけど、そればかりの地域には住みたいとは思わないみたいな。もちろんそのような地域があってもいいとは思うけど。そのようなレストランの料理は確かに美味しいけど、毎日食べたいかって言われたらそうは思わないし。仮にドレスコード等がなくて気軽に入れる飲食店だとしても。美術館等、文化に触れる場所も同様に、高級で権威があった特別なものがあってもいいけど、それだけではなく、飲食店ではなく美術館だから毎日とは言わなくても、気が向いたら気軽に行けるようなところがもう少し多くてもいいのかなぁと。もしかしたら気付いてないだけで実際はそういうところがすでに沢山あるのかも知れないけど。

ということで、文化によって観光地として有名な場所が増えるのもいいけど、それだけではなく、そこの住む人が気軽に文化に触れることができたり、住みたい地域として有名になったりして、その結果として観光地としても人気になるような都市が今後増えていくといいのかなぁと思った今日この頃。

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